今回は消防団の活動の実態について紹介します。
SDGsのゴール11:「住み続けられるまちづくりを」を達成するためにも必要な活動と思い消防団員になりましたが、やってみたら全然持続可能ではなく問題だらけな仕組みであることが良く分かりました。
問題提起のためにも、消防団って何?というところからその待遇や問題点、改善策について私見を述べさせていただきます。
消防団って何?どんな活動をするの?
消防団は、常勤の消防職員が勤務する消防署とは異なり、
火災や大規模災害発生時に自宅や職場から現場へ駆けつけ、
その地域での経験を活かした消火活動・救助活動を行う、
非常勤特別職の地方公務員です。
という事で消防団は非常勤の公務員なんですね。
活動に対してはちゃんとお金が出ます!!
自分が所属している消防団の活動は概ね以下のような感じです。
定例の消防団活動
月1で自分所属する班の積載者・資機材点検と班会で班長から団員へ連絡事項の共有。
自分の活動区域は月1回、日曜日の午前中2時間くらいの拘束時間。
予定があれば欠席可。
僕の所属する班は緩いので毎月メンバーの半分も来ていないです。
季節の活動・年末激励
春・夏・秋の火災予防運動。
「こちらは○○消防団です〜」と消防車に乗って自分のエリアの火災予防の呼びかけ。
通常は1時間くらい回って終わり。
しかし年末の4日間特別警報は拘束時間が長い。
激励で議員さんらが来るので小屋の待機組と積載車を走らせる組に分けて夕方18:00〜22:00まで。
遅い時は23:00まで。
これを年末の4日間。
鬼畜すぎて僕は1日しか基本行きません。
激励を受けるために極寒の中小屋で待機。
バカみたいな儀式です。
消防団夏季訓練会
いわゆる操法訓練大会のことで、消防団活動が批判される際の筆頭に挙げられる活動。
夏の夏季訓練会に向けて毎週日曜日に半日使ってのポンプ操法訓練。
火災が発生した時を想定した消火活動の訓練なのですが、何かと形式的で変に競技化してしまっています。
なので大会に向けての練習も多く、出場選手になってしまうと辛い日々が待っています。
ドラマ化もされた小説「はやぶさ消防団」でも操法訓練や大会の様子が分かりやすく描かれています。
火災発生時の出動
これが一番大事な業務ですが、実際に火災が発生して出動することは個人的にはまだ一度もありません。
サラリーマンの場合、火災発生時に大抵会社にいますし、自宅にいる時も深夜で寝ていたり、申し訳ない話ですが既にお酒を飲んでしまっていたり。
そんな具合で火災の現場に向かうことはほぼないのが現実。
火災発生時に出動したことがある団員に聞いても交通整理以外やったことはないそうです。
↑
(地域によるとは思います。)
その他
その他にはこんな活動も。
地域の防災訓練のサポート。
地域のお祭りでの消防団の広報活動。
年始の出初式(でぞめしき)。
年始の仕事始めの儀式ですね。
水をブワーっと撒いてるやつです。
活動内容は概ね以上。
私が所属している分団はかなり緩くて出られる人が出られる時にやれれば良しという感じでやっています。
消防団の待遇は?
消防団は非常勤公務員扱いで活動に対してはちゃんと報酬が出ます。
金額は地域によってバラツキはあるみたいですが、団員の年間活動報酬は36,500円が基準となっています。
月1の定例の整備点検、会議に出られる時だけ出ていればこの額貰えます。
自分が所属している班のような緩く活動出来るところでしたら、無理なく活動出来て結構な報酬が貰えます。
加えて火事などで出動した際には1回につき7,000円支給されます。
出動して用無しで退散したとしても7,000円貰えます。
更に訓練会に参加した際にも報酬は出ます。
自分のところは3,500円だったかな?
消防団の問題点
報酬は案外貰えるので、自分の所属する班のように無理なく活動させてもらえるところであれば消防団に入るのもお勧めしますが、全体を通してみると正直言って破綻しつつあるシステムだと思います。
以下に消防団の問題点を挙げます。
若い団員が激減している
昭和40年からの年齢構成比率の推移を見ていくと、若い団員が激減していることがわかります。
普通に考えて若いうちは賃貸暮らしで、地域に根付いた消防団の活動をしようなんて思う人は相当レアでしょう。
ただ、団員の高齢化は後述しますが時代錯誤な組織を作る原因ともなり、より一層若い人が消防団に入りづらい空気が生まれる事にも繋がり悪循環をもたらしています。
自営業者が減って消防団をやるメリットのある人がいない
私の実家はかつて自営で商いをしており、祖父や曽祖父は消防団に加入していたそうです。
消防団員になっていれば地域で顔と名前を売る事にもなり、
地域に根ざしたお店と認識されるので、
団員になることは商売の上でもメリットがあったそうです。
ところが今は自営業で働く人は大きく減少しており、大半がサラリーマン。
地元の消防団に入るメリットのある人なんて殆どいなくなっているんですね。
サラリーマンは出社していて出動出来ない
そしてこれは致命的な問題点で自分にも当てはまることですが、
仮に近所で火事があったとしても、会社に出社していて出動出来る可能性はほぼありません。
私の祖父や曽祖父は自営業者だったので、お店から出動出来ましたが、サラリーマンの自分ではそれは出来ません。
会社がある地域の消防団に入ることも出来るのですが、通勤先の地域に愛着持って消防団に入ろうと思う人なんていませんよね。
入ったところで訓練や定例の点検日が休日にあったら参加出来ないし。
上下関係厳しい縦社会なところが多い
私が消防団活動している班はみんな会社員でのんびり活動しているのですが、
分団の訓練に初めて参加した時に、消防団の闇を知りました。
とにかくノリが昔の体育会!!
訓練中は結構な罵声を浴びせられます。
「違う!!何やってんだ!!」
「お前これ2回目だよな!!」
「話聞いてんのかこの野郎!!」
終始こんな感じ。
でもっておっさん組織なので指導中の下ネタ多いです(笑)。
問題あるかもしれないのでここで書くのは控えますが。
自分は元々体育会の人間なのでそういう気質には慣れており、レトロな昭和の体験イベントくらいな感じでいられますが(たまにイラッとしつつ)、そういった耐性のない人が入ったらびっくりするでしょうね。
罵声も下ネタも全てがハラスメントで今時の会社だったら即退場レベルです。
(ま、そう言いつつ自分は下ネタおもろくて笑っちゃいましたけど、、)
操法大会に向けた訓練が不毛すぎる
訓練に参加して強く感じましたが「大会だったらそれは減点だからな!」と何度も言われるのですが、別に大会目指してないです。
消防団は上述の通り夏季訓練会というものが毎年あり、選手として出場する場合にはその訓練に相当な時間を費やします。
コロナ禍はずっと中止で、自分はその間に団員になっていたのですが、訓練会が復活してあまりの拘束時間の長さに愕然。
夏の大会に向けて4月から毎週日曜日が半日練習で潰れました(これでもまだマシな方らしい)。
大会に向けて訓練する事で上達するという側面はあるにせよ、はっきり言ってやり過ぎ。
だから指導も行き過ぎる。
自分達で勝手に首を絞めているだけの面もあるけれど、分団長が気合い入っちゃってたら団員は従わざるを得ない。
そういう状況を噂レベルでも聞いた若者が消防団に入るわけがない。
消防団が持続可能な組織になるためには
社会の変化に色々と対応出来ていない消防団の問題点を挙げましたが、その上でこの消防団という組織を持続可能なものにするために何ができるかを考えてみました。
個人としてはこのまま辞めずにもう少し頑張って同世代でやってみたいと思ってくれる人を増やしていくつもりです。
積載者(消防車)に乗ってると子供たちも集まってくるし、そこに一緒にいたお父さんを勧誘していますが、意外と食いつき良くてびっくりしています。
小学校で子供の担任の先生も興味を持ってくれて、クラスの子供達に消防団の話をしてくれたり、授業に誘ってくれて教室で話す機会をいただけたり、消防団に対する社会的な関心の高さを感じます。
自分が緩い団員として活動をアピールすることでまずは少しでも若い人達のハードルを下げたいですね。
社会への要請としては、コロナ禍を経て在宅勤務中心の職場も増えたので、そうした企業はCSRとして社員の消防団活動を積極的に支援して欲しいです。
強制的に入らせるとかそういう古いやり方ではなく。
国としても企業のそうした取り組みの背中を押してくれたら尚良し。
そうやって新しい血が消防団に入ってくれば自然と今までの古い体育会的な体質は淘汰されていくでしょう。
それまでの間は一昔前はこういう人種がたくさんいたんだなと、社会勉強として割り切って。
まとめ
若い人はその存在すら知らない消防団。
自分が消防団になった当初、どうやったらなれるの?必要な資格は?会社辞めたの?そんな質問をたくさん受けました。
当然資格はいらないし、知り合い経由でも消防団のウェブサイト等からでも簡単に申し込めるし、会社は辞めなくて良いです(笑)。
都心であればそこまで体育会体質の班もないでしょうし、活動の制服やら靴やらと色々支給されます。
最低限月1の活動にちょこちょこ参加すれば良いし嫌になったら行かなければ良いだけです。
少しでも興味を持たれた方はお住まいの地域の消防団を調べてみてください。
消防団は大規模災害時の要員として重要視されていますが、災害時に何より大事なのは各自の日頃からの防災意識。
最低限の防災グッズは各家庭で用意しておくことをお勧めします。
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